なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか|競争せずに気楽に稼げ!

高橋勅徳さんの「なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか」を読んだので、感想や学びポイントをまとめます。

ライフスタイル起業家(そこそこ起業)ってなに?

ライフスタイル起業家(そこそこ起業)とは、規模拡大や競争をせず、趣味・ライフスタイルを優先しながら起業して「そこそこ」に稼ぐ人たちのことです。

著者のお父さまも、仕事を「そこそこ」に抑えて人生を満喫した人だったようです。以下、「はじめに」から引用します。

父親は、釣りが大好きでした。天気が良い日曜日は自主的に仕事を休みにして、私を連れて釣りに行っていました。会社として従業員を抱えると、彼らの給与を維持するために馬車馬のように働かなければなりません。それで子どもと大好きな釣りができなくなるくらいなら、会社なんて作らない方が良いと考えていたのでしょう。

会社員にもならず、会社も作らず、自分の送りたい「ライフスタイル」を優先する。それがライフスタイル起業家(そこそこ起業)です。

本書からの学び

本書「なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか」から学べたことは、以下の通りです。

  • ライフスタイルという軸を通すことが大切
  • 合理的な経営手法を拒絶する
  • そもそもの競争を避けて、楽に生きる
  • 好きなことと稼ぎ方を「ゆるく繋げる」

1. ライフスタイルという軸を通すことが大切

2章「趣味を束ねて楽しく生きていく達人」からの引用です。

趣味と仕事を分離せずに「ライフスタイル」という軸を通したとき、実はいろいろな「稼ぎ」を生み出し、人生を楽しみながら、生きるのに十分な収入を得ていくことも可能であることも忘れてはならないと思います。

自分が望んでいる「ライフスタイル」をベースに考え、趣味と仕事をその「ライフスタイル」に合わせて選択する…というのはとてもしっくりきます。

多くの人は「仕事」を優先しますよね。

けど「仕事」を優先させて「ライフスタイル」を疎かにすると必ずどこかで「あれ?何かが違うんだよな」と噛み合わなくなります。

なので「ライフスタイル」を優先させて、人生を楽しみなら十分な収入を得る!というのが可能だということをまずは認識させられました。

2. 合理的な経営手法を拒絶する

8章「山で生きる祖父が体現していた、本当の意味での『稼ぐ力』」からの引用です。

祖父を始めとした山主さんたちが修羅道に落ちないのは、自分が「一番快適な状態」であるかどうかを確かめる、判断基準として山を持っているからです。山が生み出してくれる資源は有限です。儲かるに任せて山で採れるものを売りさばいていくと、すぐに再生不可能な状態の禿山になってしまい、生活が成り立たなくなる。

だから山で生きる人たちは「山を守れるか?」を判断基準に持ちます。いわば、「どれくらいの稼ぎが適切なのか」は、山が教えてくれるわけです。

上記の引用で最も印象深いのは「一番快適な状態を確かめる判断基準を持っている」という部分です。

著者のおじいさんは、判断基準として「山」があったそうです。山を守るためにはどのくらいの稼ぎが適切なのか?という基準で行動できます。そうすることで「修羅道(売上至上主義)」に落ちずに生活できます。

これをどのように自分たちに応用すればいいのか?

それは「自分にとって守りたいものは何か」を考えるといいのではと思います。例えば、わたしであれば「子どもに『いってらっしゃい』と『おかえり』を言う」「本を読む」などです。

仕事を中心に生活して、修羅道に落ちていたら「育児」も「読書」もどうしても疎かになってしまいがちです。が、「育児や読書ができているか」を判断基準にすれば「今、自分は快適な状態なのかな?」が分かりやすいと思います。

本書の中でも「8章」は最も好きなところです。

3. そもそもの競争を避けて、楽に生きる

10章「シーラカンスのように生き残る 日本の1000年企業のスゴさ」からの引用です。

1000年の時間を「独占できる安定した環境」にシーラカンスのごとくとどまり続けた京都のあぶり餅屋さんは「競争を避けて、楽に生きる」という起業スタイルである「そこそこ起業」=ライフスタイル企業家の正しさを証明しているのかもしれません。

京都にある今宮神社の参道で1000年以上「あぶり餅」という和菓子を販売し続けているお店の話です。この餅屋さんから学べることは、以下の2つ。

  • 目の前を通る参拝客だけをお客さまとする
  • 身の丈以上の経営はしない

目の前を通る参拝客だけを相手にして、それ以外のお客さまは無視。つまり「売上を増やしたいから京都駅にも出店しよう!」みたいなことはしない、ということです。たぶん。

そうすることで「競争」を避けられます。

ライフスタイル起業家は「競争を避ける」ことが大切。そのためにも「競争が少ない地域に移動する」「ニッチ市場を選ぶ」「コミュニティに入る」「ファンになってもらう」などの行動が必要なのかな、と感じています。

4. 好きなことと稼ぎ方を「ゆるく繋げる」

12章「小説紹介を生業にするもう一つの冴えたやり方」からの引用です。

「やりたいこと=小説紹介の動画配信」を直接的にビジネス=収益獲得に結びつけず、好きなことで得た実績をゆるく利用しながら、仕事に繋げていく状況を作っていくという姿勢は、企業家のロマンティシズムの持つ罠から逃れるための、非常にクレバーな戦略であると思います。

「好きなこと」と「稼ぎ方」をゆるく繋げていく「仕事のやり方」を追求することで、けんごさんは「趣味も仕事も、自分のやりたいことを自分のペースでやりながら、生活に十分な稼ぎを得る」を作り上げているのです。

TikTokで小説紹介を行っていて、フォロワー約45万人を有する「けんご」さんの事例紹介です。

けんごさんは、動画で小説を紹介して「再生数によって支払われる広告料・PR案件」だけでなく、「小説や漫画の広報・PR支援」で起業されています。

小説紹介で培った「PRの技術」を活かして、「小説をもっと売りたいなぁ」と考えている出版社を支援する部分で稼ぐ…ということ。

「好きなこと」と「稼ぎ方」をダイレクトに繋げるのではなく、「ゆるく」繋げるのがすごくうまいなぁと感じました。

たとえば、わたしであれば「文章を書く」ことが好きなのですが「文章そのものを売る」、ではなく「文章の書き方(SEOで上位表示する書き方)を売る」みたいなイメージでしょうか。

この「12章」も勉強になった章の1つです。

さいごに

この本を読んで感じたことをまとめると、ライフスタイル企業家(そこそこ起業)に大切なことは以下の3つかなと思いました。

  • 「ライフスタイル」をベースに考える
  • 「自分が守りたいものは何か?」を判断基準にする
  • 「好きなこと」と「稼ぐこと」をゆるく繋げる

まずは、自分がどんな「ライフスタイルを送りたいか」をイメージする。その際に「自分が守りたいもの」が壊れないことを前提にする。

そして「自分が好きなこと」と「稼ぐこと」をゆるーく繋げること。

このときに「わくわく」という気持ちが最も大切かなと感じています。本書に出てくる方はみんな「自分の好き=わくわく」を大切にしているようでした。

何も意識しないとどうしても「稼がなきゃモード」に陥りがち。

そうじゃなくて、自分の「好き」や「わくわく」にフォーカスする→がんばらずに結果が出る→もっとわくわくできる…みたいな流れ(ループ)が現代に重要な価値観なのかな、と。

本書「なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか」は全12章から成る一冊で、とても読みやすく勉強になるのでぜひ手にとってみてください!