エンティティとは、検索エンジンがキーワードを唯一の実体として識別するための、様々な情報を含んだ概念のことです。
Google単語ではなくエンティティを理解して検索結果を表示するようになりました。
エンティティを意識すれば、ウェブサイトやブランドを「誰が・何を・なぜ発信しているか」という文脈で検索エンジンに正確に認識させ、検索や生成AIの回答でも引用されやすくなります。
エンティティとは
エンティティとは、検索エンジンが人・場所・モノなどを「これは同じものだ」と識別するための様々な情報を含んだ概念のことです。
たとえば、「大谷翔平」「Shohei Ohtani」「オオタニサン」などのキーワードは、全て同じメジャーリーガーであるとGoogleは認識します。
また、「iPhone 15」「アイフォン」「Appleのスマホ」という言葉も、表記は違えど同じスマートフォンをGoogleは表示します。
呼び方が違っても、Googleには同じ実体として扱われるんですね。これが「エンティティ」という概念です。
比較ポイント | キーワードSEO | エンティティSEO |
評価対象 | 文字列そのもの | 実体(同一とみなす) |
同義語 | 別扱い | まとめて評価 |
意図理解 | 共起語で推測 | 事実関係で判断 |
活躍する場面 | テキスト検索中心 | テキスト検索・AI回答など |
従来はキーワードの一致や出現回数が重視されましたが、Googleが本当に見ているのは 「それが何であるか」という本質です。
エンティティを意識して最適化すると、テキスト検索や音声検索、生成AIが引用する元ページにも選ばれやすくなるというメリットがあります。
エンティティが検索で重要になる3つの理由
1. 検索意図を満たしCTRが向上する
Googleはキーワードではなく「エンティティ(実体)」を理解して結果を返します。
そのため、ページがエンティティと強く結び付いていれば、タイトルに含まれない関連クエリでも的確にヒットし、クリック率(CTR)が高まりやすくなります。
たとえば「オオタニサン」と検索しても、大谷翔平というエンティティを正しく示したページが上位に出るのはそのためです。
2. アルゴリズム変動に強くなる
従来は被リンクやキーワードの密度といった単一指標に依存しがちでしたが、エンティティSEOでは構造化データ、外部参照リンク、ブランド言及など複数のシグナルが統合評価されます。
そのためGoogleのアップデートで特定要素が重み付けを変えても、総合的スコアが保たれるため順位が大幅に下落しにくくなります。
3. 生成AI検索の引用元に選ばれやすくなる
ChatGPTやGoogleのSGEは、信頼できるエンティティ情報を優先して回答文を組み立てます。
エンティティを意識した記事は公式情報として抽出されやすく、検索結果ページ外からもトラフィックを獲得が期待できます。音声アシスタントでも同様で、エンティティが明確なコンテンツほど読み上げ回答に引用される確率がグッと高まります。
エンティティで評価される方法
Googleは2012年にナレッジグラフを導入しました。これは「人」「場所」「モノ」などのエンティティを巨大な「情報カード」として蓄積し、カード同士のつながりを整理する仕組みのことです。
たとえば「大谷翔平」と「ドジャース」「MLB」を結びつけることで、どの検索語からでもユーザーが求めている答えを提示することが可能です。
この前提知識を持ったうえで、エンティティで評価されるためには、以下の3つの方法を意識してみてください。
1. 構造化データを作成する
Googleはページ内の手がかりだけでは完璧に意味を理解できません。
なので、schema.orgなどの構造化データを作成し「これは選手のプロフィールです」「これは会社の公式サイトです」と明示するようにしましょう。構造化データの作り方は、以下の記事を参考にしてください。

2. つながりを強くする
エンティティ同士がどれだけ多く・正確に結び付いているかが評価のカギです。
公式SNS・Wikipedia・業界団体など権威あるページからリンクを張ると、Googleは「この情報は確かだ」と判断しやすくなります。
3. E-E-A-Tに対応させる
E-E-A-Tは、Googleの品質評価ガイドラインに登場する評価軸です。
- Experience(体験)
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trust(信頼)
検索エンジンは「誰が」「どんな経験や専門性を持ち」「どれほど権威があり」「どれだけ信頼できるか」を総合的に見てコンテンツの品質を判断しています。
エンティティのポイント | 実装のコツ | |
Experience 体験 | 一次体験の記述 | 体験談を本文に挿入 |
Expertise 専門性 | 職種・資格・研究分野の記述 | jobTitle や hasCredential を明示 |
Authoritativeness 権威性 | 公的・学術サイトからの参照 | 参考文献リンクを貼る |
Trust 信頼性 | 運営者情報の透明性 | プロフィール・連絡先を公開 |
エンティティでの評価を得るためにも上記のコツを意識してみてください。
エンティティ対策
1. 公式ページを作成する
公式ページというのは、ウェブサイトの運営者や運営会社の情報をまとめたページのことです(企業なら「会社概要ページ」のようなイメージです)。「/about」などでページを用意し、以下のような内容を掲載します。
- 会社・サービス名(正式名称+カナ表記)
- 所在地(番地まで)
- 代表者名/担当者名
- 設立年・沿革の要約
- 連絡先(電話・メール)
ロゴの画像や、代表者の写真もあるとより良いです。ページを作成したら、ホームなどから必ずリンクを設置します。
2. 構造化データを貼る
構造化データとは、ページに書かれた情報をAIなどの機械が理解しやすくするために整える書き方のことです。無料ツールの「Schema Markup Generator」などを活用すると簡単に作成できます。
- 「Schema Markup Generator」にアクセス
- 「Organization」を選択
- フォームに以下を入力
- name :正式名称
- url :公式ページ URL
- logo :ロゴ画像 URL
- sameAs :SNS や外部プロフィール(例:Twitter/LinkedIn など)
- 生成されたコードをコピーし、WordPress の「外観 → テーマファイル → header.php」に貼り付け
- Googleリッチリザルトテストで確認
上記の手順で企業の情報をまとめて機械に伝えることができます。FAQの構造化データの作り方は以下の記事を参考にしてみてください。

3. ハブ記事を作って内部リンクで繋ぐ
サイト内で記事をバラバラにアップするのではなく、ハブ記事を1本作ってそれらを内部リンクで繋ぐのもエンティティ対策に効果的です。
たとえば、以下のようなイメージです。
「初心者 パン 作り方」
┣「ドライイースト 使い方」
┣「発酵時間 短縮 コツ」
┗「パン生地 こね方」
このような4本の記事があった場合、「初心者 パン 作り方」から各子記事にリンクを貼ります。そして、子記事から「初心者 パン 作り方」の記事へも戻れるようにリンクを貼ります。
内容に関連がある場合、ハブ記事を1本作って内部リンクで繋ぐようにしましょう。
4. 権威があるサイトを引用する
権威があるサイトを引用できる場合は、出典リンクとして必ず貼りましょう。業界団体や官公庁など、ドメインが .go.jp / .ac.jp / .org になっているサイトが有効です。
よくある質問
Q. エンティティって一言で言うと何?
A. エンティティとは、検索エンジンが人・場所・モノなどを「これは同じものだ」と識別するための様々な情報を含んだ概念のことです。
たとえば、「スタバ」「スターバックスコーヒー」「Starbucks」などの表記ゆれがあっても1つのエンティティ(実体)として扱われています。
Q. エンティティとSEOってどう違うの?
A. SEOは文字列を重視し、エンティティは実体を重視します。言い換えでも同じと判断してくれるのがメリットです。
Q. スキーマ(構造化データ)って何?
A. スキーマ(構造化データ)とは、ページの情報を機械が理解しやすくするために整える書き方のことです。JSON-LDというコードを作成し、ページ内に埋め込むことで対応が可能です。
Q. スキーマ(構造化データ)は全ページに必要?
A. まずは「会社概要」「商品ページ」など公式情報ページだけで十分です。慣れたら他ページにも拡大しましょう。
Q. 既存の記事でも対策できるの?
A. できます。①見出しにキーワードを追加 ②権威あるサイトへリンクを貼る ③構造化データを追記、などの対策で効果が期待できます。
Q. エンティティは音声検索やAIの回答にも効果ある?
A. 効果があります。AIは信頼できる実体情報(エンティティ)を優先して引用します。また、音声アシスタントでも読み上げられやすくなります。
Q. 効果が出るまでどれくらいかかる?
A. 構造化データを入れてから2週間〜数か月で反映されるケースが多いですが、ドメインのパワーや情報の一貫性によって前後します。
まとめ
本記事では、エンティティの概要や対策を解説しました。
サイトの公式情報をまとめた「Aboutページ」の作成や、検索エンジンに正しく伝わるコード(構造化データ)の書き方、記事同士をつなぐ内部リンク設計、信頼できる情報の引用、ブランド情報の一元管理などを実践すれば、これまでのキーワード対策以上の安定した流入が期待されます。
エンティティは、音声検索や生成AI時代にも強い集客経路の形成が可能です。まずは公式ページやFAQの構造化データなど、できるところから始めていきましょう。
#エンティティ